著者考案の原理であるGreen Neck Systemについて徹底解説した書籍。
1は2007年に出たもので、本書はその拡張版です。1を読んでいなくてももちろんOK。
この原理は、3枚あるいは数枚のカードをテーブルに置き、観客はその中のカードを1枚、心の中で覚えます。その後、観客は数回カードの配置を入れ替えます。演者はそこから、カードのある位置を当てて見せます。
お察しの通り数理とも言えないような原理が使用されており、そのおかげで本書収録の手順はどれも必中のメンタリズムです。操作の自由度は高いものの不安定な部分はなく、一度覚えてしまえば安心して演じることができます。
おすすめは冒頭に収録されたMental Monte。これはモンテの演出によって、入れ替えの部分のちょっとした不自然さをうまくカバーしている秀作です。また、Free Will（3つのオブジェクトの位置を予言している手品）のバリエーションであるScripted Willでは、このプロットによくマッチした予言の示し方が紹介されています。原理を活かすためのプレゼンテーションを学ぶ素材として、非常におすすめです。
著者の研究は極めて真面目でよくできていますが、この原理のポテンシャルはまだまだこんなものではないでしょう。
数理手品が好きな方、メンタリズムがお好きな方、ぜひ後研究ください。