1993年に出版されて以降、世界中のカードマンたちに影響を与えてきた本書。何年も絶版状態が続いていましたが、この度めでたくリプリントされました。

本書に収録されているのはどれも高難度のテクニックを駆使するカードマジックで、簡単なものはひとつもありません。その難しさはフラリッシュ的なものではなく、表から見ると何もしていない（指が一切動いていない）ように見えるという、最も実行難易度の高いものです。逆に言えば、適切に実行することができれば、演者は何もしていないのに視覚的に鮮やかな現象が起こるという、理想的なカードマジックを演じることができます。

本書の副題はThe innovative card magic of Ernest Earickで、内容はその名に恥じぬ革新的なものが揃っています。
脳味噌と腕にガツンと刺激が欲しい方におすすめです。




Claptrap
選ばれた３枚のカードを手を叩く動作でプロダクションしていきます。

Proteus
カードを真ん中に戻し、別のカードを真ん中から取り出し（それが１枚しかないことを案に示しつつ）、次の瞬間にはそれが選ばれたカードになります。
現象は一般的なそれですが、裏で頑張りまくる手品です。

Jack Syna(ps)ces
４枚のAとKのトランスポジション。片方をデックの中に散り散りにし、もう一方をデックのトップに置いた状態から一瞬で入れ替わります。

Lonely at the Top
４枚のAをデックに戻し、それを再び取り出します。

House Guest
選ばれたカードがケースの中から出てきます。
ここで使われているスチールは大変効率的で参考になるでしょう。

The Longitudinal Swivel Steal
無駄な動きが発生しにくいセンタースチール。

Thought Manifest
選ばれたカードが空の手からビジュアルに出現します。

Bureau d’Échange
選ばれたカード１枚をポケットに入れ、その後４枚のKをボトムに置きます。それらが入れ替わります。
ワンハンドボトムパームの解説が読めます。

Kato-nine-tails
真ん中に入れたカードが、演者がデックのトップを叩いた瞬間に表向きで出現します。

Yours, Mine, Yours
カードとコインのトランスポジション。
アクロバティックですが合理的な動きで改が行われる楽しいルーティンです。

Alone in a Crowd
トライアンフ的なテイストのあるカード当て。
面白いフリッパントムーブが学べます。

A Flippant Triumph
トライアンフのバリエーションです。選ばれたカードが飛び出てくる形になっているため、揃う部分とカード当てを分けて見せたい方にお勧めです。　

Bottomland Aces
観客にデックをシャッフルさせた後、演者はAを取り出してみせます。
この現象を変なパーム等を駆使してゴリッと解決します。


Double Damned
テンカードポーカーディール。

Cross Purposes
面白いプロダクションが学べるカード当ての手順。

Lustig for Life
カードをデックに戻し、観客に好きな数字を言ってもらいます。カットしたところからその数字のカードが出てきて、さらにその分だけカードを配ると観客のカードです。

One Shuffle - One Winner
ブラックジャックのデモンストレーション。

Poker Blind
五人でポーカーをする想定です。
Kをトップに置き、２回のシャッフルでスタッキングを行います。

Tandem in One
おなじく五人のポーカー。
２つのフォーオブアカインドを１度のシャッフルでスタッキングします。

The Case of the Inconstant Player
ポーカーデモンストレーションの途中で人数が変化した時に対応する方法。

A Little Bit Patter
上記の手順のバリエーション。