ten little tricks 著・こざわまさゆき

MK001

2,778円(税込3,000円)

奇才こざわまさゆき、6年ぶりの新刊!
パズル・ミステリー・パラドックスとマジックを絶妙にブレンド!


パラドックスやパズルの話を盛り込んで不思議な演出を創り出すマジッククリエーター、こざわまさゆき氏の2冊目の作品集です。
前作「Incomplete Works」では、不条理感あふれる演出のマジックが話題となりましたが、今作でも風変わりな演出に溢れています。
いえ、6年の時を経てより洗練されたといえるでしょう。「変な話だけど、すぐにでも演じて見たくなる」そんな作品が10作品+おまけが3作品詰まっています。

今作も挿絵は一切ありません。が、読んでみれば必要がないことはすぐにお分かりいただけるでしょう。
特殊なテクニックを使っていないからというのもあるのでしょうが、圧倒的に読みやすいのです。
また、さりげない引用や蘊蓄、エスプリの利いた注釈から、氏の知性とユーモアが感じられ、とても読みごたえがあります。
映像が主流の昨今、これは本で学んだ方が良い!と言える数少ない作品集です。

収録作品ガチレビュー(文責:野島伸幸)

1: Counterfeit
歴史に残る傑作。このトリックのために買う価値は十分にあります。
天秤のパズルを題材としているのですが、この手順は見事です。非の打ちどころがありません。
この演出・原理の性格上決まった枚数を使わないといけないのですが、そのあたりの解決も見事です。

2: Ambitious Royals
2枚のカードのアンビシャスカード現象なのですが、これは、あまりぐっと来なかったですね。
ある有名な古典作品をベースにしているのですが、原作ではテクニックなしで解決しているのに対し、こちらではがっつりスライトを使います。
ただし、その分上がってきたカードをはっきりと示せる箇所があります。
余録でも講習用に構成したという説明もされておりますので、そういう意味で使いどころはあるのかなと。

3: Magician vs. Gambler vs. Mathematician
これ好みです。モンティホール問題を演出に絡めたのも見事なのですが、何手も先を行くハンドリングは大好物です。これはマジシャンでも初見では追えないでしょう。
最後の段も、感じの悪い演出と感じの良い演出の2通りが紹介されています。著者は良い感じの方をススメておりますが、僕は感じ悪い方をやりたいですね。で、どや顔で「ざぁーんぬぇーん!」て言いたい。

4: Hide a Leaf
「葉を隠すなら森の中」という慣用句をテーマにしたマジックです。さらっと言ってますが、慣用句をテーマにするって、おかしくないですか?そんなアプローチでマジックを創る人はこざわさんくらいです。で、まあ、この言葉が最後に活きてくるんですね。クライマックスの流れは読んでいてぶるっとしました。正直、手順はダイレクトメソッド連発で粗削りな感はありますが、挑戦したくなるテーマではあります。
あと、最後のバリエーションの大胆な伏字は笑いました。

5: Process of Elimination
今まで見てきた中で最も洗練されたビドルトリック。
私が今後ビドルトリックを演じる機会があれば、このバージョンをやるでしょう。
このトリックの問題点としてあった「デックの半分を持っていることの理由付け」に対してこれ以上ないほどの名回答がなされています。
数十年の時を経てビドルトリックがようやく完成した。そんな気持ちです。

6: Six Card Brainwave
タイトルがすべてを物語っているというか、エイトカードブレインウェイブを6枚にしたんですね。
さらに透明なダイスと気の利いたセリフが加えられているのですが、正直物足りないという感覚です。
僕がこざわまさゆきに求めているものは、もっとマニアックな作品なんだ!ということかもしれません。
ただ、一般の方相手に演じたら受けるというのはたやすく想像できます。

7: Subliminal Effect
サブリミナル効果をテーマとした、一致現象ですね。
普通に演じるとただの予言のトリックになるのですが、サブリミナルという演出を加えることで「観客がそれを選んでしまう」という現象になるのは面白いところです。ハンドリングはこざわさんが演じられている手法を紹介していますが、構造はシンプルですので、いかようにも変えられます。

8: Following
フォローザリーダーのこざわさんの演じ方。これは、すごく良いです。シンプルで、無理がなく、説得力があって、現象が理解しやすい。
上記のビドルトリックと並ぶ完成度。どちらも今後のスタンダードになりうる良手順です。

9: Red Ocean & Blue Ocean
ノーセットで始まる、セレクトカードのカードアクロス。
理想の現象を達成するために、少し複雑な工程を踏んでおりますが、ノーギミック・ノーセットということを考えると、仕方がないのかなと。
かといって難易度は高いわけではなく、ある程度の力量があれば充分に演じられます。

10: A Tale of Ten Travelers
すごく、こざわさんらしいマジックです。
トリックカードを使ったバージョンは僕も知っていましたが、演じるなら本書のバージョンの方が好みです。
このバージョンはあまりにも簡単に演じられてしまうので、一人歩きしそうな予感がします。

Appendix A: Ideal & Reality Deck
結婚式で演じるカードマジックのアイデア。
これは、使えます。使いたいです。ヤマギシルイさんのアイデアも紹介されておりますが、こちらもとても良いです。
良い意味でこざわさんらしくない作品です。

Appendix B: Two-person Zero-sum Game
この原理を知らなかったので、「え!できるんだ!すげえ!」と興奮してしまいました。
小ネタなんですが、もしかしたらこの作品集の中で一番演じてみたい作品かもしれません。

Appendix C: The Gift of the Magician
プレゼントをするのに使えるマジック。
こういうのを演じられるのはイケメンに限ると思いますが、大切な人にプレゼントする時にマジックをやりたい方は必読でしょう。

セット内容
・冊子(A5版・本文85ページ)
・電子版のダウンロードコード